認知症の高齢者を支えるキーワード「否定的に捉えない」

 

1977年のNHKドラマの「男たちの旅路」シリーズの中の「シルバー・シート」
このドラマには、ある老人ホームに暮らす身寄りのない数人の男性が
路面電車を乗っ取り立てこもってしまう場面があります。
電車に立てこもった男性たちは・・・『高齢者は捨てられた人間で
世間のお荷物になっているのだ。』と嘆きます。
そして印象的な言葉が続きます。



「老人に敬意を表する者は誰もいない」
「人は今までにしてきたことで敬意を表されてはいけないのかね。」
「何かをしてきたという過去を大切にしなくては人の一生って何なのさ。」

という言葉で超高齢社会になった現在に多くのことを問いかけてきます。

2012年公開の映画「わが母の記」でアルツハイマー病の女性と
息子さんの人生を描いています。
女優さんが認知症を発症してジワジワと進行していく様を
見事に演じています。
演じている女性は徐々に認知法特有の「行動と心理状況」を呈していきます。
家族はこの困った行動と理解し難い心情を
如何に抑えていくか対策を話し合います。
おばあちゃんの困った行動を如何に押さえ込むかという
対処方法を話し合っている時
その内容を聞いているお孫さんが怒り出します。



「皆、おばあちゃんの気持ちになっていないじゃないの。
 だからおばあちゃんの心をこじらせてしまうのよ!」
と叫ぶ場面があります。
映画の中で、この叫ぶ場面は認知症に関わる多くの方の心に
刻まなくてはならない大切な言葉であると感じました。

認知症の方に対して「治らなくても良いじゃない!」といった姿勢で応じて
ご本人の心情を尊重して張り合いのある日常生活を考えていく。
このような心情にはなかなかなれないかもしれません。
認知症を取り扱っている記事やメディアの切り口は
認知症を否定的に捉えていることは多いように感じています。
「認知症は悲惨な状況になる病。」
「認知症の方の介護は大変苦労する。」
といった視点で語られることが多いように思います。

認知症2015.7③

このような社会の視点が認知症になってしまったらおしまいだ。
どうしようもないのだという発想にとらわれてしまうのだと感じます。
ここで難しいことかもしれませんが認知症を肯定的に捉える視点が
これからますます必要になってくると感じています。

こんな考え方は如何でしょうか?


「認知症は治らない病だと早い時期から知っていたら
 苦しいとか辛いとか思う以前に
 どうやってこの人と生活していこうかと積極的に考えるのに・・・。
 そうしたら今のようにすごく辛い思いをしなくて済んだのではないかな!」
となるかもしれないと思うのです。

将来的には人類は認知症という病を
克服していく可能性は大きと思います。
しかし、現状はそこまで科学は進展していません。
「良くなって欲しい・・・。」という願いは誰もが抱きます。
しかしそのことがきっかけで介護する人が介護を受ける人に
きつくあたってしまうような事態があるとすれば
この二人共が不幸になると思います。

認知症2015.7①

認知症という病が「問題を生む」と考えると認知症の人は
「困った人」とされてしまいます。
今後、高齢者と認知症の方はしばらくは増加します。
この状況を「困った状況」「困った高齢者の多い国」としてしまうか
「幸せな状況」「幸せな高齢者の多い国」にしていくのか!?

認知症2015.7②


それさえなければ幸せになるのに・・・あの人のせいで自分は不幸だ。
あの人のせいで私たちは幸せになれないのだ。
誰かの責任にしてしまうと結局は自分が不自由になってしまう。
自分の幸せや不幸をそのことにコントロールされてしまいます。
これでは自分もその人も幸福にはなれません。
幸せになるための道がなかなか見つからなくて
イライラしてしまう場合が多いと思うのですが
考え方を少しずつ変えてみませんか?

苦痛と快楽、良い事と悪い事、成功と失敗・・・
心の内の幸せはこのような人生において避けがたい矛盾を
しっかりと受け止めて、考えて理解して、受け入れることで訪れると
信じて日々過ごしていくことが重要と思います。
家族の誰かが認知症に見舞われてそんな風にはなかなか思えない。
「毎日、家を飛び出して帰ってこないおばあちゃんを
見守らなければならないその状況がこんな考えで解決するわけがないよ。」
ということもあろうかとは思います。

認知症2015.7④

こんな状況にあるときにしっかりと色々な状況を受け止めて、受け入れて
それが私の人生のとても大切な一部なのだという
慈しむ気持ちになれればよりよい人生になれるかもしれません。
そんな考えと行動が大切になってくると思います。

私達の認知症に対する見方が今後を大きく左右してくると感じています!


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